ロンドン発! 本場イギリスでバイクレースに挑戦

ロンドン発! 本場英国でバイクレースに挑戦

身の程知らずのバイク好きによる、40代からの英国バイクレース参戦記です。

Vol.10 第5戦 シルバーストーン

Silverstone International 

シルバーストーンサーキットは、ロンドンから北方面に車で1時間半程度のイングランド内陸中央部、空軍基地跡に広がるフラットサーキット。世界で最も有名なサーキットのひとつ。F1 や Moto GP の英国ラウンドもここで開催される。全長は GP コースが 5.891m、International コースが 3.619m、National コースが 2.638m。レースイベントや Trackday では 3種類のコースを同じような頻度で使う。長いストレートとシケインを有する典型的な近代レイアウトのトラック。施設やスタンド類も大きく、4輪レースにも十分対応する。

 

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ゴージャスなパドック

2015 NLR Championship R5 Silverstone (International) は 7月11-12日開催。前ラウンドを好成績で終え、絶好調で迎えた今戦の舞台は、初期のロンハスラムレーススクールで走り慣れたシルバーストーン・インターナショナル。コース幅が狭くてアップダウンやブラインドコーナーが続くイギリス特有のコースと違い、フラットでコース幅が広く、長いストレートも有る高速コース。例えば、今回のインターナショナルコースの全長は対照的なコースレイアウトのカドウェルより若干長いが、ラップタイムは反対に3割近くも短い。変なテクニックや慣れを要求されずに思いっきり走れるので私は好きだ。

 

それに、新しい巨大なパドックビルはイギリスのモータスポーツのアイコン写真になるほど美しい ↓↓↓ ピットガレージは他に類を見ない広さで、まるで広い展示ホールにいるかのよう。雨風が吹きつければ車に非難したくなる通常のサーキットのピットガレージと違い、そういう時でも空調すら聞いているのではないかと思うくらいで、むしろ狭い車で待機するよりも快適。上階はオフィスビルのようで、大きな会議ホールなどがある。各種パーティー、結婚式の披露宴も行われるそうだ。

 

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向かうところ敵なし

自信の通り、初日からすべてが順調に進んだ。土曜日の朝の予選でポールポジションを獲得した。昼前からの Race1 では途中、それまでのリードを帳消しにするペースカーが入る展開になったが、再スタート後も落ち着いてトップを守って優勝した。応援に来てくれた会社の女子スタッフとご主人に良いところを見せられた。

 

翌日の日曜の朝の予選もポールポジションを獲得。続く Race2、昼過ぎからの Race3 ともにポール to ウィン、これで昨日からハットトリック達成。完璧。しかも余裕も有る。周りとのペース差を感じていた私は、転倒回避、連戦によるマシンへの負担軽減、続くレースへの体力温存のため、Race3 は気持ち的に95%の力で走ったほどであった。

 

ただその Race3 の最終ラップ、前半の高速コーナーからのブレーキングで一台のマシンが横に並びかけてきた。さすがに95%ではついてくる奴がいたか。少し驚いたがとっさにブレーキングを遅らせてパスされるのを防ぎ、そこから半周は全力で走って逃げ切った。そのライダーは今ラウンドのこれまで全3レースで私に次ぐ2位を得た Paul だった。

 

レース後のバイクプールで彼が話しかけてきた ↓↓↓ 「やっと君のペースについていけたよ。最終ラップはあの後のバックストレートで抜くつもりだったんだ。だけど、バックマーカーに邪魔されてしまった」と言う。おいおい勘違いするなよ、俺は95%で、、、と言いたかったが、健闘を称え「ならば Race4 で勝負だな」と言って別れた。

 

今回は Thomas も居らずにどこか物足りなさがあったが、モチベーションが高まった。そのあとのレースが無い Race4 はそこまで転倒の心配をしなくて良い。転ぶ気もしないし、今度は110%で走ってブランズの時のような大差を築いて思い知らせてやろう。ライバルの戦意を喪失させることはチャンピオンシップにおいては大事だ。

 

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水を差される

最終 Race4 もポールポジションからのスタート。4戦全てポール to ウィン&Fastest Lap完全優勝、やれるはずだった。が、スタート前に夕立ちが発生した。すごいスコール。Wet Race は不確定要素が入るので望むところではなかったが、気持ちを切り替えて準備をする。空は不安定のまま。一時的に陽が差してはまたスコールの繰り返し。でも、ウェットならウェットでいい。ブランズでは直前のタイヤ交換で失敗した。

 

ただ問題は雨ではなかった。雨は止んでもコース上にできた水たまりの水が全く捌けないのだ。専用車やマーシャルが懸命に水をコース外に掃きだしているが、またザーッとスコールが来て元通り。サーキットの路面は一般道に比べると目が粗くて水はけが良いはずだが、なぜこんなに水たまりが出来るのだろう。(これはその後 F1 や Moto GP でも問題になる)。そして時間も押し迫ったころ、あろうことか、大会主催者がラウンド終了を宣言した。なんてこった。水を差されるとはまさしくこのことだ。

 

4レース完全優勝のチャンスを逃して大いに残念だったが、ともかくシリーズランキングも実質トップに立った。前のラウンドから出走したレースは 6連勝。ランク 2位の Paul や 4位の Dave には全く負ける気がしない。ランク 3位につける Dani は少し気になるが、第1戦で大破したGSX-R から BMW S1000RR に切り換えた後、まだ調子が上がらないようだ。唯一、ガチンコ勝負で敗れたこと(Donington Race2 )のある最大のライバル Thomas が居ない今、向かうところ敵無しの状況。

 

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Host-it Racing

なお、前戦の Brands Hatch ラウンドでの私の走りを見た耐久チーム(Host-it Racing)から助っ人を頼まれ、このラウンドから耐久レースにも参加した。スプリントレースへの影響が気になったが、以降も知らないコースが続く中で1日目の午後に走り込めるのは悪くない。また、チームメートのヘルプが生まれることは、出走に間に合わなかった前ラウンド Race2 のようなことも起こらなくなる。全経費チーム持ちの条件で加わった。そしてこの日のレースでは総合7位、クラス1位の成績を得た。

 

ちなみに、私より幾らか年上のチームオーナーかつライダーの Andrew Bishop (アンドリュー ビショップ)とは以降も家族ぐるみでの付き合いになるが、彼は Northampton に巨大な工場を持つ企業経営者でミリオネア。彼が乗るトランスポーターはミニモーターホームで、奥さんや子供たちが乗って来る車も、イギリス人の憧れの大きな4WDランドローバー。彼はパドックでは Posh(ポッシュ)というニックネームで呼ばれている。

 

                ーグリッドー    ー決勝ー

Race1            ポール             優勝
Race2         ポール             優勝
Race3            ポール             優勝
Race4         ポール               ー  (大雨によりレースキャンセル)

 

こうしてシルバーストーンラウンドが終わった。パドック中が Hiro must be the champion の雰囲気だった。だが次は、残りの 3ラウンド(と言っても 12 Raceもあるが)のうちで一番心配な Cadwell Park 。カドウェルはオールトンパークと並ぶ、イギリス古典的レイアウトの代表格と言われるサーキットである。攻めるか守るか。

 

 

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