ロンドン発! 本場イギリスでバイクレースに挑戦

ロンドン発! 本場英国でバイクレースに挑戦

身の程知らずのバイク好きによる、40代からの英国バイクレース参戦記です。

Vol.38 2020 BSB スネッタートン300(Ducati Cup R2)

  

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なんと !!!

第2戦スネッタートン300 ラウンドは、開幕戦から2週間後、8月21-23日の日程で開催される。ここは本来は得意なタイプのトラックで、クラブレースでは優勝もしている。しかし、長いブランクから復帰した去年の BSB初参戦で悲惨なレースをしてすっかり自信を失った。先ごろ開幕への仕上げとして臨んだNLRの第1戦では、転倒、最後尾、マシントラブルと、それまで順調だった準備を断ち切ることになった。良く知るドニントンでの 開幕戦は何とか乗り切ったが、このまま第2戦の本番を迎えるのはマズい。

 

そこで第1戦からわずか 2日後の 8月11日(火)に練習に行った。例年は月一戦のペースだが、シーズン開幕が例年の折り返し頃までに遅れた今年は月二戦のペース。どうしてもタイトなスケジュールになる。純粋に職業ライダーとして参戦しているのであれば、むしろこれくらいの方がレースモードとリラックスのリズムを保てて良いと思う。しかし、私を含めた多くの BSBライダー達はメインの仕事を他に持つセミプロ。生活のための仕事と 2足のわらじを履いているライダーには今シーズンはとてもタフだ。

 

ただ時間の確保さえできれば、間を空けずに走ること自体に問題はない。Moto GPなどでもレースウィークエンド明けにサーキットに残ってテストをすることがあるが、むしろ最高に持って行った状態のままテストを行うことは意外に楽で有効なのだ。それに、最高潮の緊張から解き放たれた後のサーキット走行は純粋に楽しい。さらに今回のトラックデイは ビキナーご遠慮の Open Pit Lane 形式。細かくセッション時間が決まっておらず、1日を通して自由にコースへの出入りが出来る。Pavとの仕事が楽しみだ。

 

8月11日(火)の練習当日、早朝にサーキット入り。モチベーションは高いが無駄な緊張は無い。それどころか久々に楽しい気持ちでサーキットに居た。先日 ZX10Rで練習に来た時とは全く心持ちが違う。軽く数周した後にピットに戻り、 Pavと話し合ってとりあえずのバイクセットを決めた。すると、次のアウトでいきなり 2分3秒台を記録した。ここまでの Panegale 959でのベストは 2分 4秒台。いとも簡単にそれを更新したのだ。これにはすっかり気を良くしたが、拍子抜けした感じも混ざって不思議な感覚だった。

 

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Open Pit Lane Trackdays at Snetterton on 11/Aug/2020

 

その後もテストは順調に進み、最終的に 2分00秒01、あと 0.02秒で 1分59秒台というタイムを記録した。復帰以来、ずっと目標にしながらなかなか超えられずにいたクラブレース時代の ZX10Rでの持ちタイムはここでは 2分00秒53。新品タイヤでもない、レースモードでも無い状況で、それにも届いてしまったのだ。Panigale 959は 600マルチと同等の戦闘力と言えるので、それは自分のレベルが向上していることを示唆する。もちろん単純には言い切れないが、少なくとも過去より遅くはなってはいない。ホッとした。

 

それにしても、たった 2週間前に全くうまく行かなかったサーキットで、同じバイク、同じライダーがいとも簡単に 4秒も縮めた事実は、いかにセッティングが大切か、いかに有効な練習が必要か、それらが整えばいかに私にポテンシャルが有るかを証明した。と同時に皮肉にも、これまでも感じていた、全くデータも無く、成績はライダー次第という姿勢のチームへの疑念が確信的な感覚になってしまった。。いやいや、それは今は考えまい。気後れしていたスネッタートン第2戦に向けて自信が生じたことを喜ぼう。

 

頼むよ Jason…

10日後の8月21日(金)、BSB 第2ランド開幕。今回は、金曜日に昼からの Free Practice、土曜は朝の予選と午後のRace1、日曜は午後の Race2という4回の出走。まずは金曜の Free Practiceで練習時の感覚に戻すこと。そして土曜からのレースモードでその上を目指したい。1000ccの持ちタイムを超えてそこからが本当のチャレンジと思って来たが、それに届いた今、今回の目標は Dani の残した1分58秒台を上回ること。第2戦にして、しかも鬼門のこのトラックで、このようなモチベーションを持てるとは思いもよらなかった。クラストップは1分53, 4秒台で走るが、ここでの 4, 5秒差は通常距離のコースなら 3, 4秒差。まさにシングルフィニッシュを狙えるレベルに居る。

 

金曜の朝、Jasonと落ち合って彼のバンからバイクを下ろす。あれっ、雰囲気が違う。Jason曰く、去年参戦していたトップライダーのバイクが売りに出ていたので、壊れたバイク 'A' を直す代わりに買ったとのこと。購入は彼の自由だが何でそっちを持ってくる? 彼はこのバイクの方がエンジンリフレッシュから時間が経っていないから、ドニントンと先週のテストで使ったバイク 'B' をスペアにして置いてきたと言う。エーッ!! 私はやっとセットを詰めた 'B' で走りたいと言ったが、サスはその時のセットのまま前後とも入れ替えたから問題ないはず、と言い張る。いやいや、ワークスマシンだって1号機と2号機では違ってしまう。何でこのタイミングでバイクを変えるの?

 

昼からの Free Practice、案の定、全く乗れずに31台中の23位。タイムは何とこの間の自己ベストから 6秒落ちの 2:06.002だった。風が強かったのでそのまま受け取れないが、まわりが概ね 3秒落ちだったことを考えると明らかに風の影響だけでは無い。私は今からもう一方のバイクを取りに帰らせて欲しいと訴えたが、ガレージに前後サスを取り外したまま置いてあるからすぐには持ってこれないとのこと。万事休す。かくなる上は、この前の練習日にやったことと同じプロセスを今から行うしかない。試走する機会は無いから、データと今日走った私のインプレッションから理屈でセットアップするのだ。

 

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What a hell at free practice


私の考えに賛同してくれた Pavと出来る限りのことをして迎えた8月22日(土)、朝の予選のタイムは 2:01.339で31台中の18位だった。まだまだだが、とりあえず攻めることが出来たのでホッとした。更にセットを調整して迎えた Race1。目標は練習のタイムを上回る、つまりベストを更新すること。相変わらずスタートは良くなかったが、その後のペースは良く、#92 Matthew Jones とのし烈なバトルを制して15位、1ポイントをゲットした。そしてベストラップはとうとう 2分を切った1:59.784だった。直前のバイク変更を克服し、Dani のベストラップ 1分58秒中盤を狙うという目標になんとか戻れたのだ。

 

ちなみに後半を通して続いた Matthew とのバトルはハイレベルでとても楽しかった。最終ラップも、長いバックストレートからのブレーキングで並ばれて、2台で並走しながらコーナーに進入した。私は直ぐには引かずに我慢比べをする格好で粘り、続くシケインの手前、最後の最後で引いた。彼は一見粘り勝ちして前に出たが立ち上がりのラインがきつくなり、私はクロスラインで抜き返した。次のコーナーは勢い差があるはずなのでそのままレーシングラインで抜け、続く残り 2つのコーナーはインを閉じて逃げ切った。このようなレベルのバトルが自然に出来ていることが感慨深かった。

 

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Good battle at Race1

 

ちなみにチェッカーを受けた後、クールダウンラップを半周した辺りでガス欠になってしまい、コース脇にバイクを止めてレッカーを待ってピットに戻った。パイクプールに戻って Jasonに「半周早かったらチェッカー受けられなかったよ。頼むよー。」と話すと、「ガス欠と大きな声で言うな。レース終了時点で規定残量が残っていないと失格になる可能性が有るのを知らないのか?」と言う。そう返すか?彼は今回給油ジャーも忘れて、ライバルから「BSBでそんな給油見たことない」と冷やかされながら、私と毎回ポリタンクを抱えて給油をした。頼むよ、Jason…。

 

鬼門克服なるか 

迎えた8月23日(日)、路面はドライ、過去2日よりも風が弱く、今ラウンドでは最も良いコンデション。昨日のリザルトシートを解析したところ、世界にも通用するトップ3, 4台はどうしようもないが、ベストラップが目標の1分57秒台に届けば 5位争い、58秒台ならトップ10に入り込めることを確認した。最初はどうなるかと思ったバイクのセットもなんとかなった。新しいバイクのシートカウル自体はカッコがいい。Jasonとは最近言い争いも増えたが、彼だってメカニックが居ない中で木曜日に夜なべしてサスを入れ換え、慌てて給油ジャーを忘れたのかもしれない。とにかく、バイクの中身も外観も私自身もOKになった。Race2 へモチベーションも高まる。

 

しいて言えば新品タイヤを履けないハンデを負った。Ducatiクラスは各ラウンドのタイヤ数が前後合わせて4本(Wetを除く)に制限されている。使うタイヤには 4枚配られるステッカーを貼るのだが、Race1 終了時にオフィシャルからステッカーが無い事を指摘され、ペナルティーとしてRace2で新品を使うことが出来なくなった。Jasonは貼ったと言うから走行中に剥がれたのだろう。もしかしたらレッカー移動の際に擦り落ちたのかもしれない。しょうがない。新品は一発アタックなら 0.5~1.0 秒違うと言われるが、決勝はレースタイム。Race1で十数周走ったタイヤだってどうしようもないことは無い。

 

Race2 は5列目、14番グリッドからのスタート。まずまずのスタート(レース後に後列の #6 Peter haslerに追突するかと思ったぞと言われたが)で中位グループに喰らいついた。徐々にポジションをあげてレース中頃までに中位集団のトップに出た。が、抜き返される。 6台ほどによるバトルは延々と続き、途中、ついていけないかと思うほどのハイペースだった。最終 3ラップに昨日もバトルした #92 Matthew Jones を抜き、最終 2ラップには 開幕直前の NLR ラウンドでその走りを見て気後れした #8 Richard Spencer を抜き、最終ラップをベストラップで走り切ってグループトップでチェッカーを受けた。

 

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Race2、徐々に順位を上げて中位集団のトップでチェッカーを受けた

 

出走30台、完走24台中の11位、5ポイント。そしてその最終ラップの公式タイムは1:59.094。車載のラップタイマーでは58秒台を記録していた。目指していた公式ベスト58秒台、あわよくば57秒台という目標は叶わず、トップテン入りはまたもお預けになって、Dani の持ちタイムを破る目標にもあと一歩届かなかった。しかし、ずっとバトルをしていたし(良いタイムは出にくい)、ベストを出した最終ラップは既に 25周を走り切ったタイヤでのもの。そして中位グループのトップでチェッカーを受けた上では、今回はこれ以上は望めない結果と言える。気持ち的には大きく満足していた。

 

レース後のパークファーメイでバトルをしたライダー達と健闘を称え合っていると、そのクルーたちがやってきて、我々数台のバトルがずいぶん長い間 TVで映されていたと興奮気味に教えてくれた。そうだ、今年は観客が入れない分、TVのライブ中継が全クラスをカバーしているのだった。テントに帰るとちょうど友人から「Good Race」という Text が入っていた。去年は家族で応援に来てもらったが、今年は無観客なので来てもらえず残念だ。思わず「TV見たの?」と返したが、彼はTSLのライブタイミング(4輪、2輪を含む様々なレース状況をライブで伝えている)を見ていたらしい。

 

なお、BSBの放映権を持つ EURO SPORTSは衛星放送で、全日程、全クラスのライブ中継は EURO SPORTS iplayerという有料チャンネルらしい。Jason は細かく見ていて、加入してない私によくキャプティブ画像を送ってくる。私はそれを見ればホ~ッと思うし、このブログにもアップできるかなと思うのだが、編集する勉強も必要だと思うと何故か契約をするまでに至らない。その後 Youtubeに上がっている時もあり、TVでよく Youtubeを見ている 2番目の息子がそのたびに「パパだ!」と叫んでいる。そして「なんで余り映らないの?」と言ってくる。そうか!だから私は興味が無いんだ!(苦笑)

 

             ーグリッドー   ー決勝ー   ーRace Speed (優勝者比)ー

Race1        18th           15位               94.13%
Race2        14th           11位               95.22%

 

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