ロンドン発! 本場イギリスでバイクレースに挑戦

ロンドン発! 本場英国でバイクレースに挑戦

身の程知らずのバイク好きによる、40代からの英国バイクレース参戦記です。

Vol.35 いよいよ BSB 2020 シーズンがはじまる!(久しぶりの投稿です)

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シーズンが始まるようだ

2020年も 6月になった。イギリス社会は徐々にコロナ禍の闇から夜明けに向かっている。しかしまだまだ不透明。今シーズンは無くなるのか、と思い始めていた頃、F1 と Moto GP がシーズンを再開するというニュースが聞こえてきた。やるのだな。 BSB はイギリス最高峰の 2輪選手権では有るものの、F1 や Moto GP の UKラウンドが決まらないと日程を決められない。これで BSB も続くに違いない。予想通りに程なく 、BSB 2020シーズンは 8, 9, 10 の 3ヶ月で全6戦(Ducati TriOptions Cup は5戦)で行われると発表があった。2週間に 1レースの強行スケジュール。当面は無観客での開催らしい。

 

第一戦・・・8月7-9日、Donington Park National

第二戦・・・8月21-23日、Snetterton 300

第三戦・・・9月4-6日、Silverstone National

第四戦・・・9月18-20日、Oulton Park

第五戦・・・10月2-4日、Donington Park GP(Ducati TriOptions Cup クラスは無)

第六戦・・・10月16-18日、Brands Hatch GP

 

今から 2ヶ月も無いではないか。私は昨シーズンが 10月に終了した後も 、4月の開幕を見据えていたうちは完全にトレーニングを止めず、ベスト体重から +3キロ以内を保っていた。しかしロックダウンになってからの 3ヶ月間は、Gymも閉まり、万難を排してトレーニングを行うんだというモチベーションも保てずに 6キロ近い増になってしまった。運営する会社の方も厳しい状況で、レースモードなどどこかに置き忘れてしまっている。他のライバル達はプロフェッショナルらしく、このように先の見えない状況下でもトレーニングを続けて臨戦状態を保ち続けているのだろうか…。

 

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Looking for the break of Lock-Down

 

Mr. Ben Godfrey

本当にシーズンが始まるのかも分からず、イマイチ気持ちが乗ってこない。こういう時はとにかく始めることだ。若い頃と違って体を戻すのにも時間が掛かることは百も承知。怪我をしないように気をつけながら毎日のトレーニングを始めた。6月末から 7月中旬にかけて 3回ほどの練習走行も入れた。具体的な走行スケジュールがあれば逆算して進めざるを得ず、気が抜けることもなくなる。7月17日に予定されている BSB オフィシャルテストは、体、ライディング感覚ともにそれなりの状態で迎えなければない。

 

少しずつ体と気持ちが戻り、今シーズン初走行を数日後に控えた 6月下旬、トラックデイオーガナイザーから一本のメールが入った。「ロックダウン緩和でトラックデイが再開されたが、この 2数週間で 2人のライダーが亡くなっている。無理をしないように。」という内容だ。死んだ? 2人も? これまでも記した通り、トラックデイではインから抜くことも、ピットボードを出すどころかタイムを計ることすら禁止されている。亡くなるなんて滅多に有ることではない。どういうことだったのだろう。皆、ロックダウンのフラストレーションからの開放で無茶な走りになっていたのだろうか… 

 

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んっ? 6月21日(土)に亡くなったライダーは Ben Godfrey? 聞いたことが有る。やはりだ。数週間前の BSB ニュースレターに、昨年 Super Stock 1000に参戦して優勝経験もある彼が、今年は Ducati TriOptions Cup へ参戦してチャンピオンを目指す、というニュースが載っていた。なんてこった。親交を持つはずだったのか。 25才の将来あるチャンピオン候補はトラックデイが再開されるや否や全開で走っていた。この 3ヶ月の間、ずっと臨戦状態を保ち続けていた証。プロフェッショナルライダー。

 

約1週間後の 6月28日(日)、私の今シーズン初走行はそのドニントンパークへ行った。前回バイクに乗ったのは昨シーズン最終戦だから、またもや 9ヶ月近いブランク。今回も ZX10R の速さにビビってしまうだろうか。こんなに長くバイクに乗らないなんて、Ben Godfrey をはじめ、本物のプロフェッショナルライダーには許されないのだろうな。当日は曇り空。9時からの第1セッション。コースイン直後の第一1コーナー。確かこのコーナーだったな、8日前に彼が亡くなったのは…。心の中で手を合わせ、コーナー先のグラベルに向けて、ゆっくり頭を下げた。出会うことの無かったライバル、R.I.P.

 

開幕への準備 

10時から 20分間の 2セッション目。感触は悪くない。やはり去年とは違う。11時からの 3セッション目。そろそろペースを上げるぞ、とコースインするが、半周ほどで赤旗。なかなかコースクリアにならずにセッション終了。12時からの 4セッション目。今度こそ、とコースインするも、同時に雨が降り出して1周でピットイン。そのままセッション終了。まだ午後が有るさ…。しかし午後は雨が本格的になって路面は完全 Wet。初走行で Wet は避けたい。結局その日まともに走れたのは第2セッションだけになった。それでも、ビビることなくアクセルを全開にできたのにはホッとした。今日は良しとしよう。

 

ちなみに今回初めて Active Camera をつけた。最近は SNSオンボード映像をあげている人も多くて興味は有った。ただ自分の場合、レースでは装着不可だし、練習も攻めるので転倒すれば高価なカメラが一発でゴミ箱。何より、走行ごとにON/OFFして、画像を確認して、などという緩いテンションでサーキットに居ることはない。きっかけを掴めなかったがこのオフに購入し、気分もまだ張りつめていない初走行で試してみた。3セッション目からONにしたので、すぐ赤旗が出たアウトラップの一周だけだが、コースの雰囲気は分かると思う。ピットに戻る時に黄色い救急車が見える。これが赤旗の原因。

 

 

 

  

約2週間後の 7月11日(土)にはシルバーストンサーキットへ行った。BSB 第3戦の本番は東半分のナショナルコースだが、この日はフル GPコース。本番で余計な部分となる西半分のインターナショナルコースは、当初のロンさんのスクールで走り慣れ、No Limits 選手権では何度も優勝している得意なコース。来慣れているトラックなのに初レースになるのは皮肉なものだ。でも、知らないコースをレースを前提に攻略するのは高いモチベーションを生む。レースを離れていた 2017年、新たな楽しみの模索として GPコースを初めて走ってみた時、思ったほど楽しくなかったことを思い出す(Vol.23)。
 

シルバーストーンはドニントンとはタイプの違う高速サーキット。久しぶりの ZX10Rのパワーを自在に操れた感覚は無いし、特に肝心のナショナルコース部分はまともに攻められもしなかった。でも今日は、一週間後にここで行われる BSBオフィシャルテストを有効に行うためにコースに慣れに来た。オフィシャルテスト当日に初めてのコースを走る感覚では、慣れるだけで半日を使ってしまってもったいない。それに、もしテスト日が雨にでもなったら、まともに攻めたことも無いコースでいきなり BSBレースに臨むという、とんでもないことになってしまう。そういう意味では成果は有ったと思う。

 

実はこのシルバーストーン GPコースでもビデオを撮った。まだまだ全開モードではないが、ドニントンのインラップ一周よりはいい。少しタイミングはズレるが、編集を勉強して、後日シルバーストーンラウンドのレポートの際にでもアップしようと思う。動画編集かぁ、、私は本当はバーチャルな世界感の SNS が苦手だ。仕事上の必要性からホームページを持ち、何かを良くしようとする度にそういう対応が必要になって、こうしてブログを書き、FacebookYoutube のアカウントも持つに至っている。我ながら奇妙だ。

 

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Trackday at Silverstone on 11/Jul/2020


3日後の 7月14日(火)には、ドニントンパークで今シーズン初めて Panigale に乗った。やはり調子は良く、その日の終了までに 1分39秒台に入れた。昨シーズン最終戦、自己最高位の11位でフィニッシュしたラウンドのベストラップが 1分38秒台だったから、全くもって悪くない。なかなか好きになれなかった Panigale 959も、パワフル過ぎる ZX10Rよりも乗り易く感じ出している。ライディングの重要性が大きい分、向上へのモチベーションも高い。Jasonも ”イキナリ乗れているな” と言いたげな雰囲気。それはそうだ。毎日 2時間以上のトレーニングを続けているし、既にサーキットにも2回来ている。

 

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Trackday at Donington Park on 14/Jul/2020

 

BSB Official Test 

そして 3日後の 7月17日(金)、いよいよシルバーストーンナショナルコースで BSBオフィシャルテストに臨んだ。Panigale 959 でナショナルコースを走るとして、まさに第3戦の本番と同じ状況。天気も良い。このレイアウトは初めてながら、準備が順調に進んでいることを裏付けるように徐々にタイムを縮め、最終的にはこの日の目標としていた1分を切ることが出来た。そして、速いライダーのライディングを冷静に解析しながら向上を図る、という時間を送れた。Jasonもすっかりご機嫌だった。ちなみにここは筑波サーキットと同じか若干速いようなタイムで、クラストップは 57秒台だった。

 

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BSB Official Test at Silverstone National on 17/Jul/2020

 

これで予定していた練習走行を全て終えた。最後の 3回は一週間以内のことでハードだったが、どのサーキットの練習走行日も数か月先まで満員な状況。第1戦と第3戦の舞台で 2回ずつ走れたことは良かった。次は、8月1-2日の週末にスネッタートン300で開催される NLR 選手権の第1戦に参戦するつもりだ。ここはBSB 第2戦の舞台なので、それで序盤 3戦のサーキットで準備を整えられることになる。練習走行に行く手も有るが、あとはレース感を取り戻しておきたい。昨シーズンも、最終戦前の NLR 選手権の好成績を経て、本番の充実に繋がった。ここまで準備は順調。さあ、残すは仕上げのみだ!

 

次回は、NLR 選手権の第1戦の様子です。スネッタートン300は私には鬼門です。

 

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