ロンドン発! 本場イギリスでバイクレースに挑戦

ロンドン発! 本場英国でバイクレースに挑戦

身の程知らずのバイク好きによる、40代からの英国バイクレース参戦記です。

Vol.16 Round2 スネッタートン 300

 

雨、雨、雨

4月16-17日、第2戦の舞台は昨年のデビュー戦で良い結果を残したスネッタートン(サーキットの詳細は Vol.6 参照)。ここで勢いを取り戻したい。嫌いではないコース。金曜の練習走行ではそこそこの感触を掴めた。

 

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夕方、コースから帰ってきた一人のポストマーシャルから「君はいい走りをしてる」と言われた。彼はポストで 1日中、全てのクラスの全てのライダーを見ていたわけで、そんな彼にわざわざ言ってもらえると自信になった。

 

しかし翌土曜は朝から大雨。一日中止まない天気予報から無理やり予選が始まった。私のクラスの予選が始まった途端、更に雨脚が強くなった。直ぐに赤旗中断。再出走の合図を待っていると、コースインレーンに居るオフィシャルが大きく両手を振っている。

 

早く集まれと言っているのかと思ったら、終わりの合図。なんと、過密スケジュールゆえにその 3ラップでグリッドが決まることになった。後の方から落ち着いて出ていた私はタイヤを温め切れてもいない周のラップで予選20位になった。

 

続く昼前の Race1 も大雨の中で行われた。ひどい雨。通常 Wet タイムは Dry タイムの10~15%増しだが、今回は25%増し。それでも 20番手スタートから冷静に追い上げて 4位でフィニッシュ。激しい雨の中、慎重に 16台も抜いたのはさすがに疲れた。

 

雨のレースは気持ちが乗った者勝ちの面が有る。私は昔から雨は苦手では無かった記憶が有るが、イギリスの Club Race は 1ラウンド 4レースもある。残りのレースを考えるとイケイケモードに歯止めがかかる。まあ、#29 Mark などは、予選で転倒しても、Race1 にはスペアバイクで出てきていたが…

 

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レーシングインシデント? 

翌日、日曜の朝の予選では、ハーフウェットのコンディションの中で 3番手フロントロウを獲得。まずまずだがハーフウェットは本当に気を遣う。昨年のアングルシーでは、僅かに残っていたウェットパッチに乗って全てが終わった。どうかこのまま乾いてくれ。ライダーの実力どうしで戦わせてくれ。頼むから。

 

願いが届き、この日の最初のレース(Race2)の頃には路面は完全にドライになった。やっとだ。一気にうっ憤を晴らしたい。予選グリッドは、昨日の雨の Race1 のベストタイムからセカンドロウ 5番手。十分に戦えるポジションだ。前戦のような弱気はだめだ。今日は 3連勝と行こうじゃないか。

 

レッドシグナルが消えて、スタート! 少し出遅れるも 1コーナーのブレーキングで一気に前へ出る。が、、右前方のバイクが極端にラインを左へ振ってきた。私の侵入スピードの方がはるかに速い。ぶつかるっと思った瞬間、地面を転がった。これまで経験したことの無いアッと言う間のクラッシュだった。

 

おそらく私のスピードがはるかに高かったために、ブレーキレバーから右前方のバイクに突っ込む形になって、フロントタイヤがロックしたものと思う。レバーガードはつけていたが全く効かなかった。直ぐに赤旗中断になったが、私のバイクはコースに戻れるような状況ではなく、そのままリタイヤとなった。

 

ちなみに後から見た連続写真 ↓↓↓(初め4枚がほぼ連続、以降は飛ばし)では、青とオレンジ、#54のバイクが、たった一コマの間にバイク 4台分ほどもラインを左に変えていることが分かる。右コーナーに対してアウトから入りたかったのだろうが、ブレーキングエリアでの急激なライン変更は行うべきでないことは常識だ。

 

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ただ一般道の交通事故ではない。明確な危険行為で無ければレーシングインシデントということになる。第一、クレームをして相手にペナルティーが科されたって、私がポイントをもらえるわけでも、再レースをさせてくれるわけでもない。私はそのライダーの顔を今だに知らないし、彼も謝りに来なかった。

 

フレームに穴

早くバイクを直して、残りの 2レースに間に合わせなければならない。バイクはどんな状態なのだろう。レース終了後、Max と一緒にマーシャルが引き上げたバイクを急いで取りに行った。上の転倒写真を観れば大破であることは明白だが、その時は、バイクは転倒後、芝の上をスライドした程度に思っていた。

 

スクリーニング場にバイクが寄りかけられていた。遠目にはそこまでひどく見えなかった。祈るような気持ちでバイクに近づくと、オフィシャルスタッフがバイクの反対側のフレームを指さしながら、「フレームに穴が開いているよ。今日はもうダメだね。なんでこんな丸い穴が開くのかなぁ?」と笑いながら非情な宣告をした。

 

オフィシャルの言う通り、燃料タンクの下の太いアルミフレームの中央付近に、きれいに丸くポッカリ裂けた穴があった。この大きさと形はエンジンガードスライダーだ。きっとバイクが勢いよく地面に側倒した際、たまご型をしたそれがフレームにパンチングした感じになったのだろう。本当に信じられないくらい一瞬で叩きつけられたから。

 

でもパンチングならきっとフレームのゆがみは無いのでは?とか、何とか出走する理屈を考えた。でも冷静に考えれば、フレームに穴が開いている状況でレース出場が認められるはずが無いし、ここでアルミ溶接など出来るわけがない。万事休す。午後の Race3、Race4 の欠場を余儀なくされた。どちらも、うらめしいドライレースだった。

 

結局このラウンドは、4レース中の 3レースがノーポイントで終わった。なんというシーズンの出だしだろう。見たくないと言ったのに、Max がオフィシャルから Result Sheet を持ってきた。Race3 の Fastest Lap は 2:03.840、Race4 のそれは 2:02.351 だった。私の昨年のベストラップは 2:00.613。今年は 1分59秒台と思っていた。見たくなかった。

 

天気にたたられた今シーズン最初の 2戦は、他の多くのライダーも翻弄されていたようだったが、今回の Race3 で優勝した #991 、同じ ZX10R に乗る Michael Austin(マイケル オースティン)というライダーが手堅くまとめてランク 1位になっていた。ちなみに彼のベストラップは、Race3 が 2:05.909、Race4 が 2:06.157 。知りたくなかった。

 

                ーグリッドー     ー決勝ー
Race1           20th              4位
Race2            5th          リタイヤ (転倒により)
Race3            3rd                  ー
Race4             ー        ー

 

 

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